ChatGPTの登場以降、急速に注目を集めている生成AI(Generative AI)。ビジネスでの活用シーンも広がっています。一方で「生成AIを活用したいが、どのサービスを選べばいいのか分からない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。この記事では、生成AIのおすすめサービスの紹介と比較、使用する際のポイントについて解説します。
生成AIとは
生成AIは、人間が入力した指示(プロンプト)をもとに、新しい文章・画像・音声などのコンテンツを自動で作り出すことができるAIです。従来の「判断するAI」(例:画像認識AIや異常検知AI)と異なり、人間の創造的な作業を手助けできる点が特徴です。
生成AIについては、「生成AIとは?DXとの関連は?活用の広がりが期待される技術」をご覧ください。
生成AIを活用するメリット
生成AIを活用することで、文書作成時間の短縮、アイデア出しの効率化、ルーティン作業の自動化など、ビジネスシーンではさまざまな業務改善が期待できます。例えば、営業資料の下書き作成や、取引先へのメール文章の作成、プログラミングコードの生成などに活用されています。
ビジネスにおけるAIの具体的な活用事例については、以下の記事で詳しく解説しています。
「AIをビジネスに生かすには?24の活用事例とメリット、注意点を解説」
【用途別】生成AIサービス16選を比較
ここからは、生成AIサービスの用途別にご紹介していきます。比較の際の参考にご覧ください。
それぞれの生成AIサービスの特徴や強み・弱みについては、以下より詳しく解説していきます。
※本記事で紹介している各サービスの特徴、料金、機能などの情報は2024年11月時点のものです。最新情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
文章生成AIのおすすめ5選
文章生成AIを比較する際は、以下のようなポイントを意識しましょう。
- 日本語対応の精度:自然な日本語での会話や文章生成が可能か
- 文章の品質:文脈を理解し、論理的で自然な文章を生成できるか
- 処理できる文字数:長文の処理や大量のデータを扱えるか
- 既存ツールとの連携:普段使用しているソフトウェアと組み合わせられるか
ChatGPT(チャットジーピーティー):汎用性の高い文章作成に
OpenAIが開発した生成AIの代表格で、世界中で最も普及しているサービスです。自然な対話形式で操作できる点が特徴で、Plus版(有料版)では画像生成AI「DALL-E 3」も利用できます。
メリットとしては、日本語での対話精度が高く、質問に対して柔軟に回答できる点が魅力です。ただし、学習データの更新頻度が限られているため、最新の情報には対応していない点には注意が必要です。
Claude(クロード):長文処理や自然な文章生成に
Anthropic社が開発した高性能な生成AIで、特に長文処理に優れた性能を発揮します。有料版では最大20万トークン(日本語で約15万文字)という大量のテキストを一度に処理できます。
特に人間らしい自然な文章を作成できる点が特徴で注目を集めていますが、一方で感情表現が乏しく、また参考情報が少ないという指摘もあります。
Notion AI(ノーション エーアイ):チーム作業の効率化に
クラウド型ワークスペース「Notion」に統合されたAIアシスタントです。Notionの他機能と密接に連携することで、文書作成やタスク管理、ナレッジベースの構築など、幅広い業務の効率化を実現できます。
ただし、ゲストユーザーは利用できず、また ChatGPTのような対話形式でのやりとりはできないため、Notionを普段から活用している組織での利用に適しているといえます。
Copilot(コパイロット):Microsoft Office製品との連携に
OpenAIのGPTを用いてMicrosoftが開発した、Microsoft 365アプリケーション群に特化したAIです。GPT-4をベースとした大規模言語モデル(LLM)を活用しており、Word、Excel、PowerPointなど、主要なMicrosoft 365アプリと直接連携できるため、日常的なオフィス業務の効率化に役立ちます。
ただし、ビジネス向けの「Copilot for Microsoft 365」を利用するためには、月額4,750円に加え、前提として有料のMicrosoft 365ライセンスを取得する必要があります。
Gemini(ジェミニ):マルチモーダルな処理に
Googleが開発したAIで、同社のAIチャットサービス「Bard」もこちらに改められました。Googleの検索技術と組み合わされた多機能性が特徴で、テキスト、画像、音声、動画など、さまざまなデータ形式を同時に処理できるマルチモーダル機能が特徴です。
しかし、現時点では日本語での精度がやや劣り、たまに不自然な回答が見られる点が課題といわれています。
画像生成AIのおすすめ5選
画像生成AIを比較する際の主なポイントは、以下の4点です。
- 生成画像の品質:解像度や細部の精度、画風の一貫性
- カスタマイズ性:生成された画像の編集や微調整が可能か
- 価格と制限:無料で利用可能か、生成枚数に制限はあるか
- 商用利用:生成された画像の権利関係が明確で、ビジネスでも安心して使えるか
DALL-E 3(ダリ スリー):高品質な画像生成に
ChatGPTに統合された高性能な画像生成AIです。テキストベースの指示に従って、高品質な画像を生成できます。特に日本語でのプロンプト理解力が高く、生成した画像の微調整も可能です。
ただし無料で利用できず、使用するにはChatGPT Plusへの加入が必要となる点には注意が必要です。
Midjourney(ミッドジャーニー):芸術性の高い作品制作に
コミュニケーションアプリ「Discord」上で動作する、芸術性の高い画像生成AIです。特にリアリティのある画像生成に優れており、画像サイズも自由に設定できます
ただし、無料版が廃止され完全有料制(月額10ドルから)となった点や、日本語での指示に対応していない点は課題といえます。
Canva AI(キャンバ エーアイ):手軽なデザイン作成に
デザインプラットフォーム「Canva」に組み込まれた画像生成機能です。直感的な操作性が特徴で、デザイン初心者でも簡単に使いこなせる点がメリットです。また基本機能は無料で利用できます。
一方、生成される画像の品質はほかのサービスと比べるとやや劣る傾向にあることや、自動保存機能がない点には注意しましょう。
Stable Diffusion(ステーブル ディフュージョン):無料で自由な画像生成に
オープンソースで公開されている画像生成AIです。無料でありながら作成画像数に制限がなく、高度なカスタマイズができる点が特徴です。
ただし、処理には高性能なPCが必要で、データ容量にも制限があるため、適切な利用環境を整える必要があります。
Adobe Firefly(アドビファイアフライ):Adobe製品との連携、商用利用に
Adobe社が開発した画像生成AIで、PhotoshopやIllustratorといった同社の製品群と連携しやすいのが特徴です。また、Adobe独自の生成AIモデルを使用しているため、生成された画像を著作権の心配なく商用利用できる点が大きな強みです。
ただし、独自の生成AIモデルであるが故に、学習データは限定的です。
音声生成AIのおすすめ3選
音声生成AIの比較ポイントは、主に以下の4点です。
- 音声の自然さ:人間らしい抑揚や感情表現が可能か
- カスタマイズ性:声質やトーン、感情などの細かな調整が可能か
- 対応言語:日本語での生成精度はどうか
- 利用目的との適合性:ナレーション、歌声、音楽など、目的に応じた機能があるか
VALL-E(ヴァル イー):高精度な音声複製に
Microsoftが開発した音声生成AIです。約6万時間分の音声データを基に学習しているといい、わずか3秒の音声サンプルから声を複製できる高度な技術を持ちます。
一方、精度が高いがゆえに意図しない著作権侵害やフェイクコンテンツ作成などのリスクが課題視されており、慎重な利用が求められます。
VOICEVOX(ボイスボックス):日本語のナレーション作成に
日本語に特化した無料の音声合成ソフトウェアです。音声のトーンや感情を細かく調整でき、多様なキャラクターボイスを用意している点が特徴です。
ただし、イントネーションが不安定な場合があり、完全な自然さには欠ける部分があります。
Suno AI(スノ エーアイ):AIによる作曲・編曲に
Suno AIは、簡単なテキストプロンプトから音楽を生成できる音声生成AIです。専門知識がなくても、生成したい曲のイメージを伝えるだけで、さまざまなジャンルやスタイルの音楽を作成できます。また、既存の楽曲の編集も可能です。
ただし制作意図に完全に合致した楽曲を作るのは難しい点や、AI生成による楽曲の著作権は判断がつきにくく法的リスクがある点には気を付けましょう。
動画生成AIのおすすめ3選
動画生成AIを選ぶ際の主なポイントは、以下の4点です。
- 生成品質:映像の滑らかさや解像度、連続性はどうか
- 入力の柔軟性:テキスト、画像、既存動画など、どのような入力に対応しているか
- 編集機能:生成後の加工や調整がどの程度可能か
- 多言語対応:日本語でのコンテンツ作成が可能か
HeyGen(ヘイジェン):AIアバターによる多言語動画に
AIアバターを活用した多言語対応の動画生成AIです。100以上の言語に対応し、数百種類ものAIアバターテンプレートを用意しています。
ただし、利用できる音声の種類が限られており、生成される動画の自然さにもやや課題があります。
Runway Gen-2(ランウェイ ジェンツー):短時間での動画制作に
テキストや画像から素早く動画を生成できるAIツールです。数分以内に動画が完成する高速性と、直感的な操作性が特徴といえます。
ただし、現時点では英語のプロンプトにしか対応していないため、翻訳の手間が負担になるかもしれません。
Pika(ピカ):多機能な動画編集・生成に
テキスト、画像、既存の動画など、さまざまな入力から新しい動画を生成できる多機能なAIです。使いやすい操作性と、充実した編集機能が人気です。
ただし日本語のプロンプトを使用すると精度が低下する傾向があるといわれています。
生成AIを使用する際の注意点と対策
このように現在さまざまな生成AIツールが提供されていますが、使用する際には以下の点に注意しましょう。
セキュリティとデータ保護
機密情報や個人情報を生成AIに入力する際は細心の注意が必要です。企業の重要データを扱う場合は、専用のセキュリティ対策が施された有料版の利用を検討しましょう。
出力内容の検証
生成AIは時として誤った情報(ハルシネーション)を出力することがあります。重要な情報を扱う際は、必ず人間が内容を確認し、複数の情報源と照らし合わせる習慣をつけましょう。
ハルシネーションについては、「ハルシネーションとは?生成AIを利用するリスクと対策を考える」をご覧ください。
著作権への配慮
生成AIが作成したコンテンツの著作権については、利用規約をよく確認する必要があります。特に商用利用の場合は、各サービスの利用規約を事前に確認し、適切な権利処理を行いましょう。
適切な利用範囲の設定
生成AIに過度に依存せず、人間の判断が必要な業務との適切な線引きが重要です。創造性や専門的判断が必要な部分は、人間が主体となって取り組むようにしましょう。
従業員教育とガイドライン
組織での利用に際しては、明確な利用ガイドラインを設定し、従業員への適切な教育を行うことが重要です。特に情報セキュリティや適切な使用方法について、定期的な研修を実施しましょう。
AI利用時のルールについては、「AI倫理とは?日本政府・企業における取り組みも紹介」もご参考にしてください。
プロンプトの管理
効果的な結果を得るためには、適切なプロンプト(指示)の作成が重要です。組織内で効果的なプロンプトを共有・管理し、ベストプラクティスを蓄積していくことが望ましいです。
生成AIを比較し、最適なサービスで業務効率化を
生成AI市場は日々進化を続けており、新しいサービスや機能が次々と登場しています。生成AIサービスを選ぶ際は、それぞれの特徴や使いやすさ、料金体系などを総合的に判断し、できれば無料版や試用版で実際に使ってみると良いでしょう。
また一度導入して終わりではなく、定期的に各サービスの比較検討を行い、自身の目的に最適なものを選択することで、より効果的な活用につながります。
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